クラシック音楽

『レコード芸術』2009年12月号

メインの特集は、「世界の名指揮者ベスト・ランキング」。この雑誌はランキングの大好きな雑誌で、もちろん読者の志向を考えてのことだろうけれど、ランキングに入らなかった演奏者・演奏を、多くの読者の視野から消し去ってしまうのではないかと、いつも心…

アシュケナージ「ショスタコーヴィチ ピアノ曲・室外楽曲集」

「アシュケナージのショスタコ?」といぶかしく思う人もあろう。私も聞く前はそうで、「僕の音きれいでしょ」とばかりに音色を見せびらかすだけで、リズム感のない締まらない演奏を想像していた。しかし、これは意外によかった。「プレリュードとフーガ」は…

リヒテル EMI録音全集

クラシック音楽を聴き始めた中高生の頃、リヒテルのレコードは高嶺の花だった。初心者だから、聴いたことのない名曲のレコードをひととおり集めるのが優先だ。だから、廉価盤の中で、できるだけいい演奏を選んで買うというのが基本になる。当時、いわゆる名…

ショスタコーヴィチの室内楽2

現代音楽を聞き始めた頃、愛読した本に矢野暢の『20世紀の音楽──意味空間の政治学』(音楽之友社・1985年・品切)がある。著者はアジア政治研究の権威で、スウェーデン王立科学アカデミー会員としてノーベル賞の選考にも関わったとされるが、1993年にセクシュ…

ショスタコーヴィチの室内楽

ショスタコーヴィチといえば、多少クラシック音楽に関心があっても、交響曲しか聞いたことがないという人が多いだろう。しかし彼の室内楽には傑作が多く、ときどき無性に聞きたくなる。とくに好きなのは、15曲ある弦楽四重奏曲のいくつかと、2曲あるピアノ3…

ヤナーチェク「シンフォニエッタ」

このCDが売れているらしい。ジョージ・セル指揮/クリーブランド管弦楽団の演奏である。自称「日本ジョージ・セル協会事務局長」の私としては、たいへん喜ばしい。 売れた原因は、村上春樹の新作に登場したこと。1990年にCD化されてから売れた総数が6000枚だ…

ゲルギエフ/ロンドン響 マーラー 交響曲第3番

その後も何種類か聴いたが、いちばんの期待はずれはこの演奏。アンサンブルもテンポもぎくしゃくしていて、散漫きわまりない。第1楽章の金管など、まるで下手くそな軍楽隊だ。長大な最終楽章も、聞き手を集中させる一貫した流れに欠けている。 実は、ゲルギ…

ブーレーズ/ウィーン・フィル マーラー交響曲第3番

以前からバーンスタイン盤でときどき聴いてはいたが、いまひとつはっきり頭に入らないままだったのが、この曲。ところが、ザルツブルクでウィーン・フィルの演奏を聴いて、すっかり好きになってしまった。それで何種類か買い求めて聴いていたのだが、結局の…

ザルツブルク音楽祭 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団コンサート

今年のザルツブルク音楽祭では、5人の指揮者がウィーン・フィルを指揮した。登場順に、ピエール・ブーレーズ、ジョナサン・ノット、リッカルド・ムーティ、マリス・ヤンソンス、そしてエサ=ペッカ・サロネンである。 私が聞いたのはサロネンの指揮したコンサ…

ザルツブルク音楽祭 クリーブランド管弦楽団コンサート

今年のザルツブルク音楽祭に招かれた外来オーケストラのハイライトは、フランツ・ウェルザー=メストが指揮するクリーブランド管弦楽団のコンサート。プログラムは次の3つで、私が聴きに行ったのは、マーラー「大地の歌」を中心とするプログラムだった。ちな…

エジンバラ国際フェスティバル ゲルギエフ/LSOのプロコフィエフ

こちらは、音楽部門最大のイベント。ワレリー・ゲルギエフ指揮のロンドン交響楽団による、プロコフィエフの交響曲全曲演奏会で、しかも核になる交響曲第 5番を含むプログラムである。チケットは早々と売り切れたようで、発売直後にインターネットで日本から…

エジンバラ国際フェスティバル「スティーブ・ライヒ・イブニング」

エジンバラ国際フェスティバルでは、演劇、音楽、ダンス、大道芸など、いろいろなジャンルの公演が行われるが、ダンス部門での呼び物のひとつが、このSteve Reich Evening。8月15日から17日まで3日連続で行われたが、私が見に行ったのは1日目。 スプリンクラ…

ショパン ピアノ協奏曲第1番/第2番 ルビンシュタイン(p)/スクロヴァチェフスキー指揮 ロンドン新交響楽団/他

LP時代には聞いていたが、SACDで再入手。 1番がすばらしい。音色も美しく多彩。これまでルビンシュタインは、さほど音色の変化のないピアニストだと思っていたが、そんなことはない。SACDの最大の利点は、ソリストの音色の個性がはっきり出るところにあるよ…