『レコード芸術』2009年12月号
メインの特集は、「世界の名指揮者ベスト・ランキング」。この雑誌はランキングの大好きな雑誌で、もちろん読者の志向を考えてのことだろうけれど、ランキングに入らなかった演奏者・演奏を、多くの読者の視野から消し去ってしまうのではないかと、いつも心配になる。50人の評論家と数千人の読者の投票を集計して順位を決めたとのことらしい。
活動中の指揮者を対象とした「現代の指揮者トップ・テン」と、すべての指揮者を対象とする「世界の名指揮者トップ・テン」の2つに分かれているが、私の関心は主に後者。顔ぶれは、次の通り。
1位 フルトヴェングラー
2位 カラヤン
3位 バーンスタイン
4位 トスカニーニ
5位 クライバー
6位 ワルター
7位 クレンペラー
8位 ムラヴィンスキー
9位 セル
10位 クナッパーツブッシュ
わが敬愛する名指揮者、ジョージ・セルはなんとか9位にランク・イン。実は8位と9位の間に、かなりの得点差があり、セルはクナッパーツブッシュの他、チェリビダッケ、ベーム、ミュンシュとの接戦を制した形。レコ芸に巣くう評論家の間では、セルの評価が必ずしも高くないだけに、よく入ったなという気もしないではない。
セルについての解説を相場ひろという評論家が書いている。お薦めのCDとして、ベートーベンの「英雄」を選んでいるのはお約束だが、これに加えてチャイコフスキー5番とフライシャーと組んだブラームスを挙げているのは、我が意を得たりというところ。あまり誉められているのを見たことがないが、この2つは隠れた名盤である。私的には、チャイコフスキーはムラヴィンスキーと並ぶベスト演奏。ブラームスは1番が特によい。
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