宮台真司・福山哲郎『民主主義が一度もなかった国・日本』

 宮台真司は社会的な発言の多い社会学者だが、これまで「ほんとに分かって言ってるのか」「はったりではないか」という印象のぬぐえないところがあった。しかし、どうやら本物(になってきた)ようだ。民主党の中堅政策通とのこの対談では、政権交代をめぐる政治過程の問題、外交・防衛問題、環境問題、農業政策など、幅広く語っている。情報量が多く、しかも理論と政策論を行き来するあたりは、なかなか見事。随所で、自民から民主への政権交代が、日本の政治システムの全面的な転換であることを強調しているが、なるほどそうかと思わせる。もっともこれには、期待半分という側面もあるだろうけれど。
 私も若い頃は、政策論にかなり関心があって、某巨大労働組合で政策立案に携わっていたこともある。今は格差・貧困問題以外にまで踏み込む余裕がないが、こんな本を読むと、現実政治にコミットしたいという欲求がよみがえってくる。

民主主義が一度もなかった国・日本 (幻冬舎新書)

民主主義が一度もなかった国・日本 (幻冬舎新書)